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「電子書籍の衝撃」佐々木俊尚さん出版記念講演に行ってきた

20100411電子書籍の衝撃
4月6日に行われた佐々木俊尚さんの「電子書籍の衝撃」出版記念講演に出席し、同書を読み終わりました。

最初に一言、この本はこれから間違いなく来る電子書籍化の波を語る上で、読んでおくべき1冊になるはずです。また、この会に参加できたことは、この内容を理解し、その次を考えるための大きな助けになりました。


■キーワードは「アンビエント(遍在)化」

コンテンツが電子化されることによって大きく変わるのは、売っている店に行かなくても家や外出先など、どこにいてもインターネットにさえ接続できれば買えてしまうことでしょう。我々はすでに音楽でそれを体験しています。本書は、それを「アンビエント(遍在)化」と表現しています。

それが私たちが単に家から店まで行き帰りする手間がなくなって楽になるだけでは済みません。ここが変わると、今まで当たり前で疑問に感じることすらなかったことが、バタバタとひっくり返っていくわけです。その最も大きいのが以下の2点でしょう。

・人やメディアなどで紹介された本について、関心が高まっているうちにその場で購入できる。

・書店の制約上、目立たないところに置かれていたり、店頭から消えていった本を容易に探しだせ、すぐ買えるようになる。新しい本と古い本が同じ土俵に立つ。


従来は、マスメディアが発信するランキングや広告などを見て興味を持ったり、書店の平台から手にとって気に入ったりすることが、購入動機の大部分を占めていました。それが電子書籍の世界ではガラリと変わります。読みたい本に出会うきっかけから、既存の出版社-取次-書店とつながる書籍ビジネス全体まで大きな変化をもたらすとしています。このあたりはぜひ本書を読んでいただきたいと思います。


■「知識のたこつぼ化」は杞憂

こうした流れは、これまで出版業界に携わってきた人たちや書店、さらに本の著者や読者においても歓迎したくなかったり、躊躇してしまう側面があることは事実でしょう。そこで様々な憶測や疑問を投げかけられています。

特によく聞かれるのが、読まれるコンテンツの電子化が進むと、人は興味ある分野の記事しか読まなくなって情報の偏りが生じ、知識のたこつぼ化が広がるというものです。情報はすべて検索エンジンを通して手に入れたり、特定の人のブログやツイッターしか読まなくなることを危惧しているわけです。

これに対し佐々木さんは「たこつぼ化しない」と断言しています。

ツイッターやブログなどのソーシャルメディアを経由して新しい本と出会うというのは、明らかなセレンディピティ(何かを探しているときに、探しているものとは別の価値あるものを見つける能力・才能)が生じている。ミクシィの特定コミュニティだけを読んでいるなら偏りが生じるかもしれないが、ツイッターやブログを読むことは、自分が予期していない、コントロールされていない情報が入ってくる。これらはセレンディピティを意図的に生み出すアーキテクチャになっている。

私も経験上これにほぼ同意です。自分が情報を仕入れたいと思える人ほど、引き出しをたくさん持っており、ブログなどからそこ以外では出会わなかったであろう有用な本や記事と出会えることが多々あります。電子書籍の普及は、こうしたコンテンツを手に入れるハードルをぐっと低くしてくれるものと期待してます。

今までのやり方が通用しなくなることを危惧し、新たな潮流に自分の感覚だけでケチをつけるよりも、自分たちの経験を活かしてどう適応し、利用していくかを考えるべきでしょう。遅かれ早かれ環境の変化が起きるのは自明のことなんですから。


ちなみに、この本の出版元であるディスカヴァー21の干場社長によると、週刊ダイヤモンドが自主的にとりやめたという「電子書籍と出版業界」特集に掲載されるはずだった内容のいくつかがこの本の4章「日本の出版文化はなぜダメになったのか」に収められているそうです。ダイヤモンド社の「自主的な判断」に追い込んだ出版業界の現状と行く末を占えるかもしれません。

電子書籍の衝撃 (ディスカヴァー携書)電子書籍の衝撃 (ディスカヴァー携書)
(2010/04/15)
佐々木 俊尚

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