働きマン

ドラマ「エンゼルバンク」をフル活用する講談社、「働きマン」のリベンジ?

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「透明アクセル」というマンガをご存じでしょうか。現在ドラマで放映されている「エンゼルバンク」の原作や、「ドラゴン桜」の作者である三田紀房さんの最新作で、講談社の「イブニング」に連載されています。2月23日にコミックス1巻が発売されました。

ストーリーは、大手広告代理店に勤める主人公が、担当営業先である競艇の大きな話題作りをしてビッグビジネスにするため、実力がありながらもなかなか勝てない女子フィギュアスケート選手を競艇に転向させようとするもの(1巻まで)。広告代理店がスポーツなどにどんな形で関わっているのか、その一端がわかる面白い内容となっています。

これだけでも興味深いのですが、このコミックの内容と発売時期を考えたら更に面白いことに気づきました。発売された2月23日はバンクーバーオリンピックの真っ最中。浅田真央選手らの話題が最高潮に達している時期です。そして主要な登場人物の中に女子フィギュアスケートの選手がいます(彼女っぽい人物も登場します)。

そして2月はドラマ「エンゼルバンク」も中盤から後半に入り始めた時期です。私は三田紀房さん作品が好きで、エンゼルバンクも1巻から買って読んでましたが、当初はあまり目立つところには置かれてませんでした。しかしドラマが始まってから書店を覗くと扱いが大きく変わり、とても目立つところに置かれるようになってました。そしてその隣には、同じ作者の最新巻として「透明アクセル」も置かれていました。

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これらが偶然重なったとは思えません。透明アクセルが連載を始めるタイミングも、登場人物や展開もこの時期にコミック1巻が発売されるのを狙ったものだと思います。イブニングというややマイナーな雑誌の連載のため、どれほどインパクトがあったかはわかりませんが、何もせずに発売するのとでは大きな違いがあるのではないかと思います。


■ドラマで興味を持った読者を他の本の読者に

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また、エンゼルバンクもなかなかしたたかです。透明アクセルと同じ2月23日に11巻を発売したのですが、その前の9巻・10巻を12月・1月に発売し、3ヶ月連続で最新巻を発売していました。コミックには9話収録されてますが、連載されているモーニングは週刊のため月に進められるのは多くて5話まで。これはドラマが放映されているこの時期に集中的に発売できるよう調整してきたといって間違いはないでしょう。

さらに、このブログでもとりあげた勝間和代さんの「チェンジメーカー」という本もこれに絡んでます。この本はエンゼルバンクと並行して週刊モーニングで1年間連載された「勝間和代の『誰でも出来る』日本支配計画」というコラムをまとめたもので、エンゼルバンクのオフィシャル参考本として2月に発売されました。勝間さん自身、ドラマの第一話に登場するなどコラボしてました。

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さらにさらに、エンゼルバンクの公式副読本として三田紀房さん自ら「『売れ残る時代』の転職術」と「会社に左右されない仕事術」という2冊を、エンゼルバンクに登場する海老沢のモデルとされている海老原嗣生さんも続けて3冊もの本を発売しました。

さらにさらにさらに、エンゼルバンクや透明アクセルの巻末には、ストーリーに絡んだビジネス書や自己啓発書の著者による書き下ろしコラムが載っており、当然著作もPRされています。

…とこんな感じで、ドラマをきっかけに原作に興味を持った人を取りこぼさず、さらに関連する本の読者になってもらおうと周到な準備をしているわけです。勝間さんの場合は彼女のファン(カツマー)を取り込む狙いもあるでしょう。

テレビの凋落が話題となってますが、それでも数十万、数百万単位の人にリーチできるわけですから、大きなチャンス。そして原作に興味を持つ人は、それに関する本にも関心を持ちやすい優良な見込み客といえます。著者や発売元の講談社が、それをきっちりと取りに行ったんだろうと思います。


■「働きマン」の失敗に対するリベンジ!?

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これを見て思い出したのが2007年にやはりモーニングに連載されていた「働きマン」がドラマ化されたときのことでした。男性より働く強い女性を描いた作品として注目を集め、4巻まで発売されていたコミックは、ドラマがはじまると増刷を繰り返すヒットとなりました。しかし作者の安野モヨコさんが体調不良でダウンしてしまい、そのままドラマが終了。昨年復帰したものの5巻は未だに発売されてません。講談社はドラマ化のチャンスを生かしきることができなかったわけです。

エンゼルバンクも透明アクセルも、日本で女性が働く環境に対して疑問を投げかける節があり、かなり女性を意識した内容となっています。講談社はエンゼルバンクを働きマンのリベンジと考えているのかどうかわかりませんが、両方を見た私としては、つながりがあるように見えてなりません。また、透明アクセルに出てきたような大手広告代理店がこうしたシナリオを書いているのかもしれません。

ここに書いた推測がどこまで当たっているかわかりませんが、とても興味深いと思いますし、否定的な考えはまったくありません。むしろ、ここに出てきた本の何冊かを読み、非常にためになっています。特にエンゼルバンクと透明アクセルは、ぜひ多くの人に読んでもらいたいと思ってます。


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